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相続した不動産の売り方、どうすればいい?心を込めて分かりやすく解説します

相続した不動産の売り方、どうすればいい?心を込めて分かりやすく解説します

【はじめにご確認ください】 このブログは不動産会社の立場から、相続した不動産の売却の流れや一般的な知識をわかりやすくお伝えすることを目的として作成しています。税金・法律・登記などの専門分野については、正確な情報をお伝えするよう努めておりますが、個々のケースにより内容が異なります。**税金に関することは税理士、法律・相続手続きに関することは司法書士・弁護士など、各分野の専門家に必ずご確認ください。**当社は不動産売買の専門家として全力でサポートいたしますが、不動産業以外の専門分野については責任を負いかねますことをあらかじめご了承ください。

親やご家族から受け継いだ大切な実家や土地。「売るべきか、持ち続けるべきか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。相続した不動産の売却は、通常の売却とは異なる手続きや期限があり、知らずに進めると損をしてしまうことも。この記事を通じて、皆様が安心して一歩を踏み出せるよう、心を込めてご説明いたします。

1. 相続した不動産、売るべき?持ち続けるべき?

相続した不動産をそのまま持ち続けると、次のような負担が生じます。

・毎年かかる固定資産税の支払い
・建物の老朽化・修繕費用の発生
・空き家の場合は管理の手間(草刈り・清掃など)
・将来的な不動産価値の下落リスク

一方、売却して現金化することで、相続人の間で公平に分けやすくなるメリットもあります。特に相続人が複数いる場合、不動産のままでは分割が難しいため、売却して現金を分け合う「換価分割」という方法が有効な選択肢となります。

売却を検討されているなら、後ほどご説明する税金の特例には期限がありますので、なるべく早めに動き始めることをおすすめします。

2. 売却までの流れ・5つのステップ

相続した不動産を売却するには、通常の売却とは異なる手順が必要です。大きく5つのステップで進みます。

STEP1:遺言書の確認まず、故人が遺言書を残していないか確認します。遺言書がある場合は原則としてその内容に従って相続手続きを進めます。自宅で遺言書を見つけた場合は、開封せずにそのまま家庭裁判所に提出することが法律で定められています。

STEP2:遺産分割協議遺言書がない場合は、相続人全員で「誰がどの財産を引き継ぐか」を話し合います(遺産分割協議)。全員の合意が得られたら遺産分割協議書を作成し、全員が署名・実印で押印します。この書類は後の手続きでも必要となる大切な書類です。

STEP3:相続登記(名義変更)不動産は被相続人(故人)の名義のままでは売却できません。相続登記(名義変更)を法務局に申請し、相続人の名義に変更します。

⚠️重要:2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料が科される場合があります。

STEP4:不動産会社への査定依頼・売却活動相続登記が済んだら、いよいよ売却活動です。複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる会社を選んで媒介契約を締結します。その後、買主が見つかれば売買契約を結びます。

STEP5:引き渡し・確定申告代金の受け取りと物件の引き渡しが完了したら、売却の翌年に確定申告が必要です。特例を利用する場合も申告は必須ですので、忘れずに行いましょう。

売却までの目安期間:名義変更から売却完了まで、通常半年〜1年程度かかります。期限のある特例を使いたい場合は早めに動くことが大切です。

3. 必ず知っておきたい重要な注意点

相続した不動産の売却には、特有の落とし穴があります。事前に知っておくことで、大きな損を防ぐことができます。

① 相続税の申告・納税期限は10カ月以内相続税が発生する場合、相続を知った日の翌日から10カ月以内に申告・納付が必要です。不動産の売却には通常3〜6カ月かかるため、相続税の納税資金が必要な方は早急に動き始めましょう。

② 共有名義の不動産は全員の同意が必要不動産を相続人全員の共有名義にした場合、売却の際には相続人全員の署名・押印が必要となります。一人でも反対すると売却ができないため、話し合いは丁寧に進めることが大切です。

③ 代表者名義で売って分配する場合は要注意一人の名義で売却して代金をほかの相続人に分配する場合、遺産分割協議書にその旨を必ず明記してください。記載がないと、分配したお金が「贈与」とみなされ、贈与税が発生するおそれがあります。

④ 所有期間は被相続人が取得した時点から引き継ぐ売却益にかかる譲渡所得税の税率は、所有期間が5年以下か5年超かで大きく変わります(5年以下:約39.6%、5年超:約20.3%)。ただし相続した不動産の場合、所有期間は被相続人が取得した時点から引き継ぐため、長年親が住んでいた実家は低い税率が適用されることがほとんどです。

4. 使える税金の特例・優遇措置

相続した不動産の売却では、条件を満たすことで税負担を大きく軽減できる特例があります。

① 相続空き家の3,000万円特別控除 被相続人が住んでいた家屋を相続し、空き家になった状態で売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です。

主な条件として、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却することなどが求められます。

② 取得費加算の特例 相続税を支払った方が、相続した不動産を相続開始日の翌日から3年10カ月以内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。

③ 相続土地国庫帰属制度 どうしても売却できない相続した土地については、一定の要件と負担金を支払うことで国に引き取ってもらえる制度(令和5年4月開始)も選択肢のひとつです。

大切なポイント:特例を利用する場合でも、確定申告は必ず必要です。申告しなければ特例は適用されませんので、ご注意ください。

5. かかる税金のシミュレーション

⚠️ 重要なお断り:このセクションでは税金の「考え方」と「仕組み」をご理解いただくことを目的として一般的な情報をご紹介しています。実際の税額は、取得費・所有期間・特例の適用有無・建物の構造など個々の状況により大きく異なります。**具体的な税金の計算や申告については、必ず税理士にご確認ください。**当社は不動産売却のサポートに全力を尽くしますが、税務については責任を負いかねます。

譲渡所得の基本的な考え方

相続した不動産を売却して利益が出た場合、「譲渡所得」として税金がかかります。計算の基本的な考え方は次のとおりです。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

・取得費:被相続人(故人)が購入した時の価格を原則として引き継ぎます。購入当時の書類(売買契約書など)が見つかった場合はその金額を、不明な場合は「売却価格の5%」を概算取得費として使用できます。
・譲渡費用:売却にかかった仲介手数料・印紙税などの費用

建物がある場合は「減価償却」に注意

相続した不動産に建物が含まれる場合、取得費の計算において建物の減価償却を考慮する必要があります。

建物は土地と異なり、時間の経過とともに価値が下がっていくと考えられています。そのため、建物の取得費は購入当時の金額をそのまま使うのではなく、所有期間中に価値が下がった分(減価償却費相当額)を差し引いた金額を使います。

減価償却費相当額の基本計算式(居住用・非事業用の場合):

建物取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数 = 減価償却費相当額

償却率は建物の構造によって異なります。代表的なものをご紹介します(非事業用・居住用の場合)。


建物の構造法定耐用年 非事業用の耐用年数(×1.5)償却率
木造22年33年0.031
軽量鉄骨造(3mm以下)19年28年0.036
鉄骨造34年51年0.020
鉄筋コンクリート造47年70年0.015

※非事業用(居住用)建物の場合、法定耐用年数の1.5倍の年数に対応する償却率を使用します。また、減価償却費相当額の上限は建物取得価額の**95%**までとなっています。

【仕組みのイメージ例】 例えば、木造の建物(取得価額1,000万円)を30年間所有して売却する場合のイメージ: 1,000万円 × 0.9 × 0.031 × 30年 = 約837万円(減価償却費相当額)

償却率は建物の構造によって異なります。代表的なものをご紹介します(非事業用・居住用の場合)。

この場合の建物の取得費は:1,000万円 ー 837万円 = 163万円となり、取得費から差し引かれる分が大きくなるほど、譲渡所得(課税対象となる利益)が増える可能性があります。

⚠️ ご注意:上記はあくまで仕組みをご理解いただくための計算イメージです。実際には建物と土地の取得価額の按分方法・経過年数の端数処理・各種特例の適用など、複雑な要素が絡み合います。実際の税額の計算は必ず税理士にご依頼ください。

税率についての基本的な考え方
売却した年の1月1日時点での所有期間によって税率が変わります(相続した不動産は被相続人の取得時点から計算)。

所有期間5年以下(短期):税率 約39.63%
所有期間5年超(長期):税率 約20.315%
長年親が所有していた実家の場合、多くのケースで長期譲渡所得(約20.315%)が適用されます。ただし、各種特例を適用することで税負担が大幅に軽減される場合もあります。

具体的な税額については、必ず税理士にご相談のうえ確認されることを強くおすすめします。

6. 女性目線でのアドバイス

① 「まずは動く」ことが大切相続後は心が落ち着かず、手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし特例には期限があり、相続登記にも義務と期限が生じています。四十九日が過ぎたら、まずは不動産会社や司法書士に相談だけでも始めてみましょう。

② 親が購入した時の書類を探しておきましょう取得費の計算に、親が不動産を購入した時の売買契約書や領収書が必要です。書類が見つからない場合は売却価格の5%を取得費とみなす計算方法もありますが、原則として実際の購入価格の方が有利なケースが多いです。遺品整理の際にぜひ確認しておきましょう。

③ 専門家への相談を惜しまないで相続登記は司法書士、税金の特例は税理士、売却は不動産会社と、それぞれ専門家がいます。一人で抱え込まず、早めに相談することで時間も費用も節約できます。

④ 兄弟・親族間の話し合いは丁寧にお金が絡む話し合いは感情的になりやすいもの。「売りたい・売りたくない」のすれ違いで関係が壊れてしまうケースも少なくありません。全員が納得できる形を大切にしながら、焦らず丁寧に進めていただければと思います。

⑤ 迷ったらご相談ください「うちのケースはどうなるの?」と思ったら、どうかお気軽に私たちにお声がけください。大切な方から受け継いだ不動産を、最善の形で次のステップへ進められるよう、心を込めてサポートいたします。

7. まとめ

相続した不動産の売却は、通常の売却より手続きが多く、期限のある事項もいくつかあります。しかし、正しい順番で進め、使える特例を活用すれば、税負担を大幅に抑えることも十分可能です。

押さえておきたいポイントを3つにまとめます。

まず、相続登記(名義変更)は2024年から義務化されており、3年以内の申請が必要です。次に、特例(3,000万円控除・取得費加算)は相続から概ね3年以内の売却が要件となるため、早めの行動が鍵です。そして、どの特例も確定申告が必須ですので、売却翌年の申告を忘れずに行いましょう。

大切な方から受け継いだ不動産だからこそ、後悔のない形で次のステップへ進んでいただきたいと思います。不動産売却に関するご質問やご相談は、いつでもお気軽にどうぞ。皆様の笑顔のために、心を込めてお手伝いさせていただきます。